さばのゆデザイン
世田谷・経堂。イベント酒場〈さばのゆ〉を発信地としてゆったり笑える豊かな社会をつくるデザインカンパニー
Photo N.Kurisu

2017.10.9

商店街の酒場の賑わいが、こども食堂の笑顔につながる。人情に寄り添い循環する日銀券。石巻の金華サバ料理の有名店・経堂らかん茶屋さんの噺。

by 須田 泰成

文化と笑いのコミュニティデザインスローコメディコミュニティの熟成と発酵

経堂らかん茶屋の脂のり良い金華サバメニュー

経堂らかん茶屋のサバは、ただのサバではありません。
宮城県石巻市に揚がる脂のり良いブランド鯖、
金華サバを使っているのが、最大の特徴といえるでしょう。

「身が上品で、脂のりがいんですよ」と、らかん茶屋の大将。

実は、らかん茶屋さんが金華サバを使うようになった理由には、
石巻との或る物語がありました。

2011年3月の東日本大震災の時、
木の屋石巻水産という海沿いの缶詰工場が流されてしまいました。
金華サバ、サンマ、イワシなどを
刺身にできる鮮度のまま缶詰にする
フレッシュパック製法でつくるグルメ缶詰が有名で、
震災前から経堂の商店街には、
木の屋石巻水産の缶詰メニューを提供する個人飲食店が数店舗。
そのため、経堂では、震災後は、支援物資を送り、
さらには、工場跡地に埋まった泥まみれの缶詰を掘り出し、
車に積んで経堂に持ち帰り、洗って売る活動を開始。
努力の甲斐あって、ブームが起き、
2011年末までに20数万缶が販売され、
工場復活のきっかけとなったのでした。

その辺りの事情は、このNHKの記事にも詳しい。

そんな縁があり、石巻の金華サバが、
経堂のらかん茶屋さんに届くようになったのでした。

メニューをひとつひとつ見てみましょう。

じゅわっと脂がウマい サバ塩焼き

仙台味噌でコクのある サバ味噌煮

ビールにピッタリ! カラッとサバの竜田揚げ

自家製ポン酢が相性バッチリ サバ唐揚げポン酢

誰もが驚く出汁とゴボウのサバの柳川

日本酒と最高の相性の サバの刺身

シャリと口溶けの脂が舌の上で渾然一体の至福 サバ握り

誰もがうなる トロサバ丼

宴会の時は是非! 絶品!焼きサバ鍋

そして、最後に集合写真。

年間に使われる金華サバの量は、約2トン。
もちろん売上げは、東北の復興のためになるわけです。
金華サバの味に魅かれて大勢の客が訪れ満足するお客の
なかには、石巻に旅行にでかける人もいたりします。

経堂農大通りのらかん茶屋さんが、
経堂こども文化食堂に毎回プレゼントする無料の唐揚げは、
下記のような流れの中にあります。

①らかん茶屋さんが、石巻の金華サバで賑わう
      ↓
②賑わったから経堂こども文化食堂に
唐揚げ寄付しよう by らかん茶屋さん

そして、さらに新しい流れがあるという。
それは、経堂こども文化食堂のWEB記事やSNS投稿を見て、
「あの唐揚げが食べたい!」と、
らかん茶屋さんに行く人が増えているということ。

すると上記の流れは、こんな風になってきます。

①らかん茶屋さんが、石巻の金華サバで賑わう
     ↓
②賑わったから経堂こども文化食堂に
唐揚げ寄付しよう by らかん茶屋さん
     ↓
③経堂こども文化食堂のWEB記事やsns投稿の
「あの唐揚げが食べたい!」から、らかん茶屋に行ってみよう
by WEB記事読者/SNSユーザー=新規顧客。
そこで金華サバメニューに出会って、感動。
気がつけば、らかん茶屋さんのリピーターに。

つまりは、

金華サバ料理で経堂らかん茶屋さんが賑わう
     ↓
経堂こども文化食堂に唐揚げ寄付されてこどもたちが笑顔になる
     ↓
WEB記事やsns投稿で唐揚げを見た人たちがらかん茶屋に行き、唐揚げとともに、金華サバ料理に出会い感動する
(なかには石巻に行く人も)
     ↓
経堂らかん茶屋さんが賑わう
     ↓
経堂こども文化食堂に唐揚げ寄付されて
こどもたちが笑顔になる
     ↓
WEB記事やsns投稿で唐揚げを見た人たちが
らかん茶屋に行き、唐揚げとともに、
金華サバ料理に出会い感動する
(なかには石巻に行く人も)

実は、これにプラス、
らかん茶屋さんを訪れたお客さんが、
大将のオススメのお店に行くケースも少なくないため、
経堂エリアの街の活性化にも役立っています。

まさに、

「風が吹けば桶屋が儲かる」式に、
「らかん茶屋のサバが売れれば、こどもたちが喜び、街が賑わい、
石巻にも人とお金が回る」という流れなのです。

ここまで書いてきて、
昔、らかん茶屋の大将がポツリと語った言葉を思いだしました。

「オレはさ、埼玉の生まれで、若い頃の修行は都心の店だったから、
28歳の時に独立して初めて経堂に店を出した時、
ハッキリ言って、誰も知らない孤立無援状態だったわけよ。
それでもね、小さな店だったけど、開けてみると、
近所の年配の人が、お客としてついてくれて、
いろいろ教えてもらったり、助けてもらったりしたよ。
酒癖の悪いバカ野郎もいっぱいいたけどね(笑)
でも、街に応援してもらって、ここまできたというのは、あるね。
だから、やっぱり、若い人とか、こどもには、なんか返さなきゃ」

「らかん茶屋のサバが売れれば、こどもたちが喜び、街が賑わい、
石巻にも人とお金が回る」

大将の言葉を思いだす度に、
循環するのは、まず、人情のようなものありきで、
それにお金、日本銀行券がピタッと張りつき、
回っているイメージが湧いてくる。

地に足のついた良質のコミュニティデザインとは、
こういうもので、こういう噺が全国にあれば、日本は大丈夫。

そう思ったりするのでした。

らかん茶屋さんは、こちら。
世田谷区経堂1丁目23ー13  興輝ビル 1F
03-3429-2230
営業時間
ランチ:11時30分〜14時00分
ディナー:17時30分〜(LO.22時)

らかん茶屋さんのサバ料理を中心とした宴会は、
4500円ポッキリ(税込み)+飲み放題(4名以上/2時間制)。
(サバ料理のリクエストがあれば、前もって相談してください)

[写真:栗栖誠紀

須田 泰成

須田 泰成

「スローなコメディにしてくれ」
 編集長+プロデューサー+ライター。
always look on the bright side of human life♩な
「もの+こと+ひと」を取り上げながら、
地域や企業のリアル・ムーブメントも熟成発酵させている。

世田谷区経堂と全国の地域の生産者と文化をつなぐ
経堂系ドットコムを2000年から運営。
イベント酒場さばのゆをハブに全国のつながりを醸す日々。
東日本大震災の津波で流された石巻の缶詰工場・木の屋石巻水産
の泥まみれの缶詰を洗って売るプロジェクトは、
さばのゆから全国に広まり、約27万個を販売。
工場再建のきっかけとなるなど、ソーシャルな活動も多い。

本業は、著述、映像・WEB制作、各種プロデュース。
著書に『モンティパイソン大全』(洋泉社)、など。
脚本・シリーズ構成に『ベイビー・フィリックス』(NHK),
『スーパー人形劇ドラムカンナの冒険』(NHK)など多数。

『シャキーン!』(NHK)『すっぴん!』(NHKラジオ第一)
などの番組立ち上げもいろいろ。

テレビ、ラジオ、WEB、脚本、構成、
執筆、制作、講演などの仕事多数。
お仕事も承っております。
Twitter:@yasunarisuda
facebook:https://www.facebook.com/yasunarisuda
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