2017.11.5
大阪・堺のアナゴの老舗〈松井泉〉さんと缶詰博士・黒川勇人さんをつなぎ歩く。
全国各地のおいしいものと
おいしいもの好きを〈つなぎあるく〉のも実に楽しいもの。
大阪・堺のアナゴの老舗、松井泉の社長の
松井利行さんと知り合ったのは、昨年のことでした。
松井さんと知り合う前は、
アナゴといえば、お寿司屋さんの握りか、
出張で瀬戸内方面に行った際のアナゴの駅弁くらいの認識でした。
それが、松井さんと会う度にいろんな知識と、
いろんなアナゴの食べ方を教えていただき、目からウロコの連続で、
アナゴワールドがすっかり広がってしまいました。
堺といえば、中世から戦国時代にかけて
とても栄えた街で、茶道の千利休はじめ、いろんな才能を生んでます。
そして、昔は、下関のフグ、堺のアナゴと言われるほどだったそうです。
松井さんは、父親も祖父も穴子を専門にしていて、
ご自身も幼い頃から穴子一筋。
美食の大家として有名な北大路魯山人が、こんな一文を書き残しています。
「あなごの美味いのは、堺さかい近海が有名だ。東京のはいいといっても、
関西ものに較べて調子が違う。焼くには堺近海のがよく、煮るとか、
てんぷらとかには東京のがいい」
( 『魯山人の食卓』(北大路魯山人著、角川春樹事務所グルメ文庫)から)
そんな堺のアナゴを缶詰博士・黒川勇人さんに〈つなぎあるき〉してみました。
訪れたのは、大阪・堺。
南海電車・難波駅から南海高野線(和泉中央行)に乗り、
区間急行で20分ほどの泉ヶ丘駅で下車。
高島屋泉北店にある松井泉さんの直営店。
売場の前で、アナゴ帽子を被って2ショット。
「ぼくは東北の人間なので、関西のアナゴが楽しみで楽しみで」と、
興奮気味の黒川さん。
仕事がない日だったので、早速、昼飲み。
ビールのツマミに最初に出していただいたのは、
アナゴのやわらか煮。これがウマい!
続く一品は、アナゴの肝煮。珍味&美味!
さらに焼きアナゴで煮ゴボウを巻いた八幡巻。
ツマミ3品の後、メインのアナゴに
煮アナゴさまが登場しました。
感動した缶詰博士、かく語りき。
「アナゴといえば、これまで、
柔らかく煮たものしか食べたことがなかったんですけど、
でも松井泉さんのお店は、同じ煮アナゴでも、
最初に食べた時間を掛けて柔らかくしたものと、
いま食べたばかりの、さっと煮てあっさり仕上げたものがあって、
それぞれ味わいが違うのがオモシロイ。
さっと煮たアナゴは最低限の味つけだけで、アナゴがもともと持っている脂とか、
意外と野趣のあるうまみがよく判る。骨の細かな歯触りも楽しいですね」
続いて、香りのいい焼きアナゴ。
「焼いたアナゴはさらに野趣がありますね。
噛むとゆっくりうまみが湧き出してきて、それが焦げ目の香ばしい匂いと混ざり合い、
〈アナゴですどうもどうもうふふ〉と笑いながら鼻腔を抜けていく感じ、
燗酒が欲しくなる〜」と、さらに感動が高まった缶詰博士。
この至福の表情を見よ!
そして、〆に入ります。
アナゴ飯は、焼きアナゴと煮アナゴがWで。
さらに松井泉さん特製アナゴふりかけをかけたご飯に
アナゴの頭でとった出汁をかけたアナゴ茶漬け。
そして最後にアナゴ蕎麦。
缶食後の大満足の2ショット。
実は、この後、缶詰博士・黒川勇人さん、八幡巻きをお土産に買ってしまいました。
「八幡巻きは、予想外にウマかったです。
素朴で透明なごぼう君に、酸いも甘いも噛み分けたアナゴ姉さんが
〈あんたに足らない脂をあたしが補ってあげるわ〉と
擦り寄っている〈ような気がする〉。家呑みにもピッタリですね!」
アナゴの老舗・松井泉さんと缶詰博士・黒川勇人さん。
今後もいいご縁とそしてつながっていただきたいものです。